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ミズキの葉の薫風にそよぐ麗らかな午後のことだった。 その木のたもとで独歩はやおら瞼を持ち上げる。葉の隙間から…
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——今日は田山さんと国木田さん、一日お休みです。 朝一で潜書室に向かった二人に、司書はすげなく告げた。なんで…
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(学スス設定) 静かだった校内にはざわめきが戻っている。入学式が終わったのだ。 教室へ戻る人の波に流されなが…
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唇と唇が離れた後、独歩はひどく満足を覚えて自然と溜息をついていた。 十代の子供のような接吻だった。目を瞑って…
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(独+藤散策回想ネタバレ) 司書へのねぎらいの言葉を集めよう、と藤村と頷き合った直後である。それにしても、と…
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帝國海軍は毎週土曜の半ドンにカレーを食すと聞くが、ここ帝國図書館ではカレーの日といえば木曜日だ。毎週食べても…
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強力な侵蝕者の巣食う新たな有碍書が発見されて、最近では滅多に会派に呼ばれることのなかった独歩が再び潜書に向か…
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世間の禁煙の波はここ帝國図書館にも例外なく押し寄せるものらしく、館内で喫煙できる場所はじつに限られたものだ。…
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「あーっ!! あいつ、また!!」 花袋の部屋に本を借りに来た折だった。とくに予定もない午後で、暫く居座って最近…
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その日たまたま訪れた百貨店の催事場は、なにやらきらびやかな包装に包まれた甘い香りのする物体とそれを求める人々…
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朝食の時間になっても姿を現さない親友を訝しんで訪れた部屋は空だった。そんな気はしていた、朝目が覚めて、地面が…
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暦の上では春であろうと今日も昨日と同様に寒い。 悴む手を腰に巻いた着物の中で温めながら司書室に赴いた秋声は足…
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その男を見た時、込み上げてきた感情はなんだったろうか。 旧友と再び出会えたことに対する喜び? 前世とは似ても…
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帝國図書館に温泉が湧いた。その一報がもたらされたのは秋も深まる九月末。それから無茶な模様替えに定評のある特務…
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今年の誕生日も、それは盛大に祝われることになった。 去年よりずいぶん人が増えたのもあって食堂は満員御礼、その…
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それは十一月の末であった。 明け方まで降り続いていた雨は日が昇る頃に止み、昼前には空を覆っていた厚い雲もどこ…
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独歩が帝國図書館に転生したのは十一月もまだ初旬のことだったというから、凩の吹き始め、街路の桜の葉が色づいては…