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駅前通りの交差点。信号待ちのその間、花袋は何の前触れもなく、視界に入る紅色の正体をふ、と掴んだ。「あ、なるほ…
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非常に強い勢力を保って本州に上陸した台風は、ここ帝國図書館にも小さくない爪あとを残していった。本館のステンド…
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夜は、まだ明けてはいなかった。 霞んだ視界に映り込んだ医務室の天井は薄青く染まっている。だが壁時計の針を読む…
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読書の合間、目の疲れを覚えた花袋は束の間、窓辺からぼんやりと外を眺め下ろした。図書館の庭に、薄暗い空からぼた…
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五月の上旬に母の日なる記念日があって、その日は日頃世話になっている母親に花を贈る日だそうで、転生文豪たる彼ら…
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独歩に近づくと妙に甘い匂いがすることに最初に気がついたのはいつの頃だったか。洒落者で通っているあいつのことだ…
唇と唇が離れた後、独歩はひどく満足を覚えて自然と溜息をついていた。 十代の子供のような接吻だった。目を瞑って…
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(独+藤散策回想ネタバレ) 司書へのねぎらいの言葉を集めよう、と藤村と頷き合った直後である。それにしても、と…
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帝國海軍は毎週土曜の半ドンにカレーを食すと聞くが、ここ帝國図書館ではカレーの日といえば木曜日だ。毎週食べても…
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世間の禁煙の波はここ帝國図書館にも例外なく押し寄せるものらしく、館内で喫煙できる場所はじつに限られたものだ。…
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「あーっ!! あいつ、また!!」 花袋の部屋に本を借りに来た折だった。とくに予定もない午後で、暫く居座って最近…
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その日たまたま訪れた百貨店の催事場は、なにやらきらびやかな包装に包まれた甘い香りのする物体とそれを求める人々…
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朝食の時間になっても姿を現さない親友を訝しんで訪れた部屋は空だった。そんな気はしていた、朝目が覚めて、地面が…
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暦の上では春であろうと今日も昨日と同様に寒い。 悴む手を腰に巻いた着物の中で温めながら司書室に赴いた秋声は足…
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その男を見た時、込み上げてきた感情はなんだったろうか。 旧友と再び出会えたことに対する喜び? 前世とは似ても…
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帝國図書館に温泉が湧いた。その一報がもたらされたのは秋も深まる九月末。それから無茶な模様替えに定評のある特務…
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今年の誕生日も、それは盛大に祝われることになった。 去年よりずいぶん人が増えたのもあって食堂は満員御礼、その…