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1. ロンドン、ヒースロー空港発三〇一便は定刻より十五分遅れでニューヨーク、JFK空港に到着した。 時は一九…
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フランスは今この時、この場所に、どうしても立っていなければならなかったのだ。 * 「美しいあなたの手にキスを…
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「なんだこれ」 書棚の整理をしていたロマーノは、下から二段目、右から数えて三つ目の引き出しの奥深くに角の折れ…
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毎年飽きもせず、新しい桜の歌が歌われる。今年もその季節がやってきた。 菊やすみれや、杜若の歌はないくせに、…
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「アメリカ、この皿をしまってくれないか」 「うん。えーと、この棚でよかった?」 些細なことである。 たとえ…
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道 地平線まで真っ直ぐな道が続いていた。 というのは些か大げさだろう。なだらかな起伏が道の先を消して、疑似…
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かつて、セーシェルを見つけたのはフランスだった。普通の人間が寄りつかないような岩場の海岸で一人膝を抱えていた…
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日本はイタリアに対して、漠とした憧れをもっている。 憧れと言うだけならば日本は、アメリカやイギリスをはじめと…
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そこは住宅街の外れにある、手入れのされていない木々に囲まれた、ほんの小さな墓地でした。 どこかのお寺のお墓…
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特別な用事があったわけではない。しかし何かのついでというわけでもなかった。暫く顔を見ていないなと、スケジュー…
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「死ぬんですか」 まるで道ゆきでも尋ねるような気軽さだった。どちらまで? ちょい寺町までお参りに。今日は縁日さ…
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結局、イギリスがフランスに髪を切らせたのはその一回きりだった。 一度切ってもらった結果があんな風だったこと、…
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そこはひどく寒々しい場所だった。あたりは暗闇で、そこがどんな場所なのか、どんな広さなのか見当もつかない。それ…
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まだ日も昇り切らない時分だった。些細な違和感がカナダの目を覚ました。ベッドが広い。シーツの間で身じろぎすると…
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日本は手の中のそれを見て眉をハの字に曲げた。 「どうしましょうねえ……」 見かけと言動とは心底困っているよ…
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イタリアが日本の家に遊びにきた。肩には大きなキャンバスをかけ、頭には麦藁帽子を乗せている。玄関口に立ったまま…
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僕たちにとって、時の流れというのは意識に上らせるのも面倒なほど緩慢だ。とくに冬の間など、窓の外は白一色、やる…
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「ああ、なんて美しいんでしょう!」 丘の上までやってきて、ジャンヌは耐えきれないとばかりにくるりと身体を回転…
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これはまだ、フランスが小さな少年の姿をしていた頃のお話。 フランスは小さかった頃、それはそれは美しい外見と…
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彼が愛する馬の名はダナ、美しい鹿毛の牝馬だ。 フランスがイギリスと初めて会った時、彼はすでにその馬を連れて…