「お前、ガリガリじゃないか」
まさか、寝台に横たえられて服を肌蹴させられた状態で、そんなことを言われるとは思わなかった。身体を跨ぐ体勢で、黎深が冷たく見下ろす。
「そ、そうですか……?」
「昔も細かったが、今ほどじゃなかっただろう」
黎深の口調は怒っているというよりは呆れている色が強くて、それが逆にやり辛い。怒っているのならば上手く宥めることもできように、呆れられると勝手が違う。反撃の言葉が見つからずに視線をうろうろと彷徨わせる悠舜を、黎深はじっと見下ろしていた。
その視線にようやく気付いた悠舜は、恥らうように身体を捩った。しかし、右手首を掴まれて敷布に張り付けられる。無理矢理正面を向かされて、もう片方の手も押し付けられればもう身動きは敵わない。
「……手首も、こんなに細い」
視界にあるのは、頼りない炎の灯りに照らされた天上の木目だけ。覆いかぶさる黎深の表情は、近すぎて伺えなかった。それでも、僅かに震えた声音と、肌に直接触れる人のぬくもりに、知れず笑みが零れる。
「心配していた」
耳に触れる吐息がくすぐったくて肩を竦める。
文の一つもくれなかったくせにと詰ることもできたが、悠舜はそれをせずに、そっと手首を持ち上げて肩口から零れる髪に触れた。
ふと顔を上げた黎深があんまり幼い表情をしていたから、悠舜はいろんな意味を込めて、唇の端に口付けた。
すぐに返って来た彼からの口付けに吐息すら奪われて、もう何も考えられない。


コメントを残す