「まいべたーはーふ」
「なんだい、急に」
「この本に載ってたんだけどね、南蛮で、伴侶を指して言う言葉なんだって」
「それは旦那さんとか、奥さんとかいうこと?」
「うーん。どちらかと言えば、比翼の鳥とか、連理の枝とかに近いかな」
「ふうん。それでいうと、その言葉は日本語でどういう意味になるんだ?」
「それが、いまいちよくわからないんだよね。『まい』が『私の』、『はーふ』は『半分』、という意味らしいんだけど」
「なるほど。私の半分、ということか」
「そう。それで、『べたー』というのが、なにかと比較して『より良い』という意味なんだけど、この場合、一体なにと比較してるのか分からなくて」
「そりゃあ、残りの半分と比較してってことじゃないか?」
「半分に良い方と悪い方があるの?」
「ん? 納得できないかい?」
「だって、卵を半分に切っても、両方同じ形じゃないか」
「おもしろいな、どうして急に卵を切ったの」
「物のたとえだけど……僕たちが忍たまだから?」
「素敵な考えだ。私はきみのそういうところが好きだよ」
「からかわないでよ」
「本心だよ。……まいべたーはーふ」
「なに?」
「きみを呼んだんだ。私のよりよい方の半分」
「意味、わかるの?」
「分かる気がするよ。もし、きみと私とが一対ならば、きみは私より良い半分だから」
「ええ? そんなことないでしょ。おまえの方が、僕より武術でも忍術でも優れている。変装の技術もすごいし、学級委員長としてクラスメイトからも下級生からも慕われている」
「じゃあ、きみにとっての私は、べたーはーふということ?」
「ええと……そうなるね」
「それじゃあ私たち、お互いがお互いをよりよいと思ってるってことだ」
「そうなるね。……ああ、なんだか僕もわかった気がする」
「だろう? ……ねえ、私のこと、呼んでくれよ」
「……三郎。僕のよりよい方の半分」
「ありがとう雷蔵。私のよりよい方の半分」


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