『将来の夢』
「ってさあ……。高校生にもなってまさかンなタイトルで作文書かされることになるとは思わないだろ? ふつう。せいぜい中学生、いや、オレ、中学生のときだってんな作文書いた覚えないし」
期間限定全サイズ150円のポテトをもちろんLサイズ、それも二つも頼んで、それをもくもくと口に運びながら有利が愚痴る。
「なめてんのかなああのセンセ。そうだよなあ、夏休みの宿題に漢字の書き取り一日一ページとか出しやがったもんなあ、それこそ小学生かよ」
もくもく。話しながらも止まらない手。器用というか、なんというか。でも彼の母親なら「食べるか話すかどっちかにしなさいゆーちゃん!」とかってこういう躾け、きちんとしてそうなものなのに。
「おい村田。村田くーん。聞いてますか、オレの話」
「聞いてる。聞いてるって」
目の前でわざとらしく手を振ってみせる有利は、僕の言葉を信じず半眼で、じとっと機嫌悪そうな目つき。聞いていた証拠に僕は、彼の言いたいことを推理して口にした。
「それで、君はその作文の宿題に、うまいこと書く自信がなくて僕に愚痴ってるってわけか」
「……わかってんなら、アドバイスくれ」
「何事も人に頼りっきりはよくないよ。それに、何も迷うことなんてないじゃない。素直に書けばいいんだ」
「将来の夢は立派な魔王になることですってか!」
僕はくすりと笑う。君の夢、もうしっかり眞魔国の方を向いているんだね。プロ野球選手でも、お父さんみたいな銀行員でもなく、君はもう、こことは別の異世界の統治者を目指している。
「じゃあ日本風にアレンジして、夢は総理大臣、とか」
「余計笑われるわ!」
そんな僕の将来の夢。
君の横に立って、君を支えるのが、僕の夢だなんて、君には言えないけれど。


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